授業科目
(英名)
急性期看護援助論
(Acute care Nursing)
授業科目コード NN310219Jキ
科目責任者 野口 貴史
2単位
必修
講義・演習
45時間
2学年 4セメスター 専門科目
[授業の概要]
健康障害が急性期にある患者とその家族を対象にした看護援助について学修する。
危機的状況および周手術期にある者とその家族の特徴を理解し、急性期看護に有用な理論や概念を活用しながら、身体侵襲を予測し、苦痛の緩和、合併症の予防、生体機能の回復、そして社会生活への適応に向けた看護援助について学修する。
[授業の目的]
危機的状況および周手術期にある者とその家族を対象にした看護援助について理解する。
(看護の対象を総合的に理解し、科学的な知識・技術に基づいた看護を実践できる)
[到達目標]
1.急性期看護における場の特徴と倫理的課題を説明する。
2.手術侵襲に対する生体反応とその回復過程を説明する。
3.手術侵襲に伴う術後合併症を理解し、術前・術後のアセスメントの視点および必要な観察項目を説明する。
4.危機的状況にある患者の生体機能の回復に向けた看護援助を説明する。
5.危機的状況にある患者とその家族に対する社会生活への適応に向けた看護援助を説明する。
回数 曜日 時限 授業計画/授業外学習 授業計画 授業外学習 担当者
事前学習・事後学習 時間
1
10 3 2 【講義・演習】 ガイダンス、急性期看護の概念、急性期看護における場の特徴、手術侵襲と心理的反応
1.ガイダンス
2.急性期看護の概念・特徴
 急性期看護、クリティカルケア、周手術期看護とは
3.急性期看護における場の特徴、近年の変化
4.手術侵襲と心理的反応
 1)手術侵襲が心理面に及ぼす影響
 2)心理面への看護
【事前学習】
1.『周手術期の臨床判断を磨く』(p.165-174)を参考に、①ストレッサーに対する反応のプロセス②危機の概念③脅威や喪失によって引き起こされる心理④術前の意思決定への支援⑤ストレス・不安・喪失への支援、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 野口 貴史
2 10 7 3 【講義・演習】 手術侵襲による生体反応
1.神経・内分泌反応
2.サイトカインによる免疫反応
3.侵襲からの回復過程(ムーアの分類)
【事前学習】
1.『周手術期の臨床判断を磨く』(p.1-9)を参考に、①神経・内分泌反応によるホルモンの働きとそのホルモンの働きによって生じる身体調整反応②サイトカインによる生体調整機能③生体反応の時間的推移(ムーアの分類)ごとの臨床所見、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分
3 10 10 2 【講義・演習】 創傷治癒の過程と看護
1.創傷治癒過程
2.創傷関連の合併症を予防するための看護
【事前学習】
1.『周手術期の臨床判断を磨く』(p. 85-114)を参考に、①術後の創傷治癒の過程②SSIの予防や早期発見、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分
4 10 17 2 【講義・演習】 循環器系への影響と看護
1.手術侵襲が循環器系に及ぼす影響
2.循環器合併症を予防するための看護
【事前学習】
1.『周手術期の臨床判断を磨く』(p.11-36)を参考に、 ①手術侵襲が循環器系に及ぼす影響と身体徴候②循環器合併症を予防するための看護、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分
5 10 22 2 【講義・演習】 呼吸器系への影響と看護
1.手術侵襲が呼吸器系に及ぼす影響
2.呼吸器合併症を予防するための看護
【事前学習】
1.『周手術期の臨床判断を磨く』(p.39-63)を参考に、①全身麻酔による呼吸への影響②患者の個別要因が術後の呼吸にどのように影響するか③術前の呼吸器系への看護④術後の呼吸器系への看護、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 野口 貴史
村岡 智美
6 10 24 2 【講義・演習】 消化器系への影響と看護
1.手術侵襲が消化器系に及ぼす影響
2.消化器合併症を予防するための看護
【事前学習】
1.『周手術期の臨床判断を磨く』(p.65-84)を参考に、①全身麻酔による腸管運動への影響②術後合併症として起こりえる麻痺性イレウス、機械的イレウスの病態③術後麻痺性イレウスを予防するための看護、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 菱沼 秀一
7 10 29 2 【講義・演習】 術後急性疼痛、術後せん妄への看護
1.術後急性疼痛への看護
 1)術後疼痛が生体に及ぼす影響
 2)術後疼痛に対する看護
2.術後せん妄への看護
 1)術後せん妄の特徴
 2)術後せん妄に対する看護
【事前学習】
1.『周手術期の臨床判断を磨く』(p.117-145)を参考に、①術後の急性疼痛の特徴と生体に及ぼす影響②痛みのアセスメント方法と看護支援③術後せん妄の特徴と発生要因・リスク・症状④術後せん妄を予防するための看護支援、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 小西 敏子
8 10 31 2 【講義・演習】 中間テストと事例学習
1.中間テスト
2.事例学習
 1)アセスメントの視点とその根拠の考え方
 2)自己学習
  胃がん、腹腔鏡下幽門側胃切除術・Roux-en-Y(ルーワイ)再建法・D2リンパ節郭清に関する基礎的知識
【事前学習】
第1回~7回までの授業内容を復習する。
【事後学習】
『臨床外科看護各論』(p.177-181,306-307,314-320)などを読み、胃がんのため腹腔鏡下幽門側胃切除術・Roux-en-Y(ルーワイ)再建法、D2リンパ節郭清を受ける患者の看護過程を展開するために必要な学習項目について調べ、まとめる。
30分 野口 貴史
9
11 5 2 【演習】 胃がんで手術を受ける患者への看護①
1.事例学習
 1)胃がん、腹腔鏡下幽門側胃切除術・Roux-en-Y(ルーワイ)再建法・D2リンパ節郭清に関する基礎的知識
 2)事例のアセスメントの視点を考える。
【事前・事後学習】
アセスメントの視点と必要な情報を所定の用紙に記載する。
30分 野口 貴史
小西 敏子
迫田 典子
菱沼 秀一
村岡 智美
10 11 12 2 【演習】 胃がんで手術を受ける患者への看護②
1.手術室の環境
2.麻酔・手術による合併症の予防と早期発見のための看護
3.腹腔鏡下幽門側胃切除術の実際
4.近年の手術の特徴[最新]
 ロボット支援手術時における看護師の役割
【事前学習】
『周手術期の臨床判断を磨く』(p.65-84)を読み、要点をまとめる。
【事後学習】
術中の看護について復習し要点をまとめる。
30分 ゲストスピーカー
増渕 真澄
(獨協医科大学病院手術部 師長)
野口 貴史
11 11 14 2 【演習】 胃がんで手術を受ける患者への看護③
1.事例学習
 アセスメントの視点とその根拠、必要な情報を発表する。
【事前学習】
事例のアセスメントの視点を所定の用紙に記載する。
【事後学習】
配布された事例を読み、わからない語句等を調べる。
60分 野口 貴史
小西 敏子
迫田 典子
菱沼 秀一
村岡 智美
12 11 19 2 【演習】 胃がんで手術を受ける患者への看護④
1.事例学習(個人)
 事例のアセスメントを行い、関連図を記載する。
【事前・事後学習】
事例のアセスメントと関連図を所定の用紙に記載する。
60分
13 11 21 2 【演習】 胃がんで手術を受ける患者への看護⑤
1.事例学習(個人)
 事例のアセスメントを行い、関連図を記載する。
【事前・事後学習】
事例のアセスメントと関連図を所定の用紙に記載する。
60分
14 11 28 1 【演習】 胃がんで手術を受ける患者への看護⑥
1.事例学習(グループワーク)
 事例のアセスメントを行い、関連図を記載する。
【事前・事後学習】
事例のアセスメントと関連図を所定の用紙に記載する。
60分
15 12 3 1 【演習】 胃がんで手術を受ける患者への看護⑦
1.事例学習
 アセスメントを発表する。
【事前・事後学習】
事例のアセスメントと関連図を所定の用紙に記載する。
60分
16 12 5 2 【講義・演習】 肺がんで手術を受ける患者への看護
1.肺がん、肺切除術に関する基礎的知識
2.アセスメントの視点とその根拠、観察項目
3.看護の要点
【事前学習】
1.動画と『臨床外科看護各論』(p.8-21, 37-54)、『成人 看護学〔2〕呼吸器』などを用い、事前学習が必要な項目について調べ、要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 野口 貴史
村岡 智美
17 12 12 2 【講義・演習】 くも膜下出血で手術をうける患者への看護
1.くも膜下出血、クリッピング術に関する基礎的知識
2.アセスメントの視点とその根拠、観察項目
3.看護の要点
【事前学習】
1.動画と『臨床外科看護各論』(p.361-363,393-412)、『成人看護学[7]脳・神経』p.108-111,124-130,303-311,324-332)などを用い、事前学習が必要な項目について調べ、要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 菱沼 秀一
18 12 19 2 【講義・演習】 急性疾患を持つ子どもと家族の成長・発達①
 急性期にある子どもと家族への看護
【事前学習】
1.動画と小児臨床看護学総論「第3章B急性期にある子どもと家族の看護」を読み、要点をまとめる。
2.動画と小児臨床看護学総論「第5章症状を示す子どもの看護」を読み、要点をまとめる。
3.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 玉村 尚子
19 12 26 2 【講義・演習】 急性疾患を持つ子どもと家族の成長・発達②
 手術を受ける子どもと家族への看護
【事前学習】
1.動画と小児臨床看護学総論「第3章C周術期の子どもと家族の看護」を読み、要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分
20 1 6 2 【講義・演習】 急性循環障害(ショック)にある患者の看護と不整脈出現時の対応
1.急性循環障害(ショック)とその看護
 1)急性循環障害(ショック)の種類とその特徴
 2)急性循環障害のある患者への看護
2.不整脈とその対応
 1)不整脈の種類とその特徴
 2)致死性不整脈と対処方法
【事前学習】
1.動画と『クリティカルケア看護学』(p.80-101)を参考に急性循環不全(ショック)、について要点をまとめる。
2.「心房細動、心房粗動、心房性期外収縮、心室性期外収縮、房室ブロック、心室頻拍、心室細動、無脈性電気活動、心静止」についてテキストやインターネットで調べ、要点をまとめる。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 菱沼 秀一
21 1 9 2 【講義・演習】 急性心筋梗塞にある患者への看護
1.急性心筋梗塞とその治療に関する基礎的知識
2.アセスメントの視点とその根拠、観察項目
3.看護の要点
【事前学習】
1.動画と『臨床外科看護各論』(p.87-92,142-146)、『成人看護学[3]循環器』など急性心筋梗塞の病態、カテーテル治療について記載されている書籍を用い、事前学習が必要な項目について調べ、要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分
22 1 16 2 【講義・演習】 プレホスピタルの場における看護とクリティカルケア看護に必要な看護技術
1.プレホスピタルの場における看護
 1)プレホスピタルの場における対象との特徴
 2)フライトナースによる看護実践
2.クリティカルケアに必要な看護技術
 1)心肺停止状態への対応
 2)気管挿管時の援助
【事前学習】
1.動画と『クリティカルケア看護学』(p.190-209)を参考に、①心肺停止状態への対応②気管挿管時の援助、について要点をまとめる。
2.LMSで理解確認問題を解く。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分
23 1 20 2 【講義・演習】 急性期看護における倫理的課題と最終テスト
1.急性期看護における倫理的課題
2.最終テスト
3.科目のまとめ
【事前学習】
1.『クリティカルケア看護学』(p.37-50)や看護倫理の授業を参考に、急性期看護に関わる医療に求められる倫理観や行動、について要点をまとめる。
2.第16回~第22回の復習を行う。
【事後学習】
授業の復習、不足部分の追加学修を行う。
30分 野口 貴史

回数 曜日 時限 授業計画/授業外学習 授業計画 授業外学習 担当者
事前学習・事後学習 時間


[成績評価と基準]
中間テスト:30%、最終テスト:30%、関連図・アセスメント:40%により評価する。
欠席した場合、その日に実施した中間テスト、最終テストは0点とする。
[履修上の注意]
事前学習を十分に行い授業に臨むこと。
[教科書]
鎌倉やよい、深田順子 周術期の臨床判断を磨くⅠ 医学書院 第2版(電子教科書)
系統別看護学講座別巻 臨床外科看護各論 医学書院(電子教科書)
系統別看護学講座別巻 クリティカルケア看護学 医学書院(電子教科書)
系統別看護学講座専門Ⅱ 小児看護学概論 小児臨床看護総論 医学書院 第15版(電子教科書)
[参考書・参考資料]
深田順子、鎌倉やよい 周術期の臨床判断を磨くⅡ 医学書院 2021(電子教科書)
系統別看護学講座専門Ⅱ 成人看護学〔2〕呼吸器 医学書院 第15版(電子教科書)
系統別看護学講座専門Ⅱ 成人看護学〔3〕循環器 医学書院 第15版(電子教科書)
系統別看護学講座専門Ⅱ 成人看護学〔5〕消化器 医学書院 第15版(電子教科書)
系統別看護学講座専門Ⅱ 成人看護学〔7〕脳・神経 医学書院 第15版(電子教科書)
系統別看護学講座別巻 臨床外科看護総論 医学書院 第11版
系統別看護学講座専門Ⅱ 小児臨床看護各論 医学書院 第15版(電子教科書)
[質問への対応(オフィスアワー・E-mail)]
科目責任者(野口)
 オフィスアワー:質問等がある場合は、事前に連絡の上、随時受け付ける。(研究室10)
 E-mail: noguchi1@dokkyomed.ac.jp
その他、LMSのリフレクションでも質問を受け付ける。
[備考]
・講義資料は事前にLMSに掲載し、学生の学修状況を確認する。
・eナーストレーナー、ナーシングスキル等を利用した演習や事前・事後学修を行う。
・演習時は、与えられた課題に基づいて小グループでディスカッションを行い、各々の意見を発表し合う。また、事前学習してきた内容を発表し、学修を深める。
・講義内でLMS等を用いて学生の理解度を確認し、補足説明をする。
・講義内で実施した小テストやLMSに挙げられた質問について、講義・LMSなどで回答・解説する。
・成績評価の結果は、「授業評価の回答および成績評価の講評」に記載しフィードバックする。